廃墟から憑いてきたモノ
私の実家から少し離れた山奥に、旧海軍の施設跡があります。
鬱蒼とした木々の間に、コンクリートむき出しでツタが絡まったようなかなり年代を感じさせる建物です。
過去にも何度かそこへ行ったことがあるんだけど、いつもイヤな感じがしたんでよっぽどの事がない限り行かないようにしていました。
私の友人で写真を撮るのが趣味な人がいて、ある日「廃墟の写真が撮りたい」って私に言ってきたんです。
その施設の場所を説明する(私は行きたくないから)と、どうしてもついてきて欲しいと言われ渋々一緒に行くことにしました。
廃墟に着いて建物を見ただけでかなりの圧迫感を感じたんで、中には入らずにずっと外から友人が写真を撮るのを眺めていました。
そうこうしているうちに友人が「中の写真も撮りたい」と言い出し始めたんです。
私は中に入りたくなかったけど、友人一人を建物の中に入らせて(いろいろな意味で)何かあったら大変なので一緒に行くことにしました。
その建物は、入り口を入ると細い廊下が奥までずっと続いているような作りで、廊下の奥がどうなっているのか薄暗くてよく見えませんでした。
建物の中に入ったときから頭が痛くなってきて、廊下を進むにつれて頭の痛みもひどくなってきました。
頭の痛みを我慢して奥へ奥へと進んでいった。廊下の突き当たりは正方形の広い部屋になっていて、その部屋に入ったとたんに息ができないくらいの胸が苦しくなったので思わず友人に「ヤバイ!出よう」と言ってその建物を飛び出しました。
友人はなんのことか分からないようだったが、それ以降は建物の中に入らずに外からずっと撮影していました。
友人も満足したのか、撮影をやめて帰ることにしました。
その夜のこと。自分の部屋で寝ようとして布団に入りました。
私の部屋は和室で、押入のすぐ前に布団を敷いていつも寝ていました
夜中にふと目が覚めて、布団の中でもう一度寝ようとしていたときに何かの音が聞こえてきました。
なんの音だろう?気になったけど布団から出ずにじっと耳をすましていると、物音はどうやら押入の中から聞こえてくるみたいでした。それも、「がりがり・・・がりがり・・・」誰かが押入のふすまをひっかくような音です。
その音はふすまの一番上からずーと私のすぐ真横まで「がりがり・・・がりがり・・・」と下りてきて、私の横までくるとまたふすまの上まで戻って「がりがり・・・がりがり・・・」と下まで・・・。
「これは絶対廃墟から来たモノだ」そう確信した私は怖くて(笑)気にせず寝ることにしました(だって、ふすまを開けて何かいたら怖いし何もいなかったらもっと怖いから)
そうして努力しているうちに何とか眠ることができて、無事に朝になっていました。
朝になって押入を開けてみると、やっぱり中には誰もいないし、ふすまにはひっかいた跡もありませんでした。
それ以来、あの廃墟には一回も行っていません・・・
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